はじめての広島開催1300人の参加で大成功
自治労連など21団体でつくる共同実行委員会は10月3~4日に広島市内で「第18回地方自治研究全国集会in広島」を開催し、全国の自治体・公務公共関係労働者、研究者、住民、市民団体等からのべ1300人が参加しました。

歓迎文化行事では「広島ジュニアマリンバアンサンブル」が世界中の平和を願って元気いっぱいに演奏。会場から大きな拍手が起こりました。開会にあたって授、共同実行委員会を代表して新建築家技術者集団の千代崎一夫氏、現地実行委員会を代表して広島修道の門脇美恵教があいさつをしました。
■被爆体験と核兵器廃絶への思い(特別報告)
特別報告として、広島県被団協の佐久間邦彦理事長が自身の被爆体験と核兵器の廃絶に向けた思いについて語りました。

佐久間理事長は生後9か月のときに爆心地から3km地点で被爆。戦後、東京に引っ越してから辛い差別を経験しました。そうしたなか「被爆者の助けになりたい」と定年を迎え、広島県被団協に加入。以後、核兵器禁止条約締約国会議など国際的な会議に参加してきました。 報告の最後に佐久間理事長は、高市内閣の下での軍拡の動きを踏まえて、憲法前文を読み上げ、「世界の人たちと力を合わせて核兵器も戦争もない平和な社会を作らなければいけない。みなさん共に頑張っていきましょう」と訴えました。
■憲法と地方自治をいかし、共同の力で平和、人権、公共を取りもどそう(基調フォーラム)
基調フォーラムでは、平岡和久立命館大学名誉教授をコーディネーターに3人の発言者が各分野から現場の実態や課題などについて報告。

登壇した大谷大学の中野加奈子教授は、国の生活保護費引き下げに対する「いのちのとりで裁判」について報告し、原告など当事者の方々の声を聞き、一人でも多くの人々が仲間になって人権と公共を取りもどす運動を広げたいと訴えました。また、自治労連の曽我友良中央執行委員は2003年の指定管理者制度導入以降、学童保育や図書館への拡大による労働者の処遇低下と保育の質の低下を指摘し、自治体の公的責任について問題提起しました。和光大学の山本由美名誉教授は、練馬区で区民の願いを政策化し、多くの市民団体とつながり、それを実現する区政を実現した事例を紹介しました。発言を受けて平岡名誉教授は公共を取りもどすうえで地域団体との社会的連帯、住民自治と住民運動の重要性を指摘しました。
フォーラムを通して国・自治体が行政上の責任を果たすこと、住民・当事者・自治体労働者・地域団体が連携することの重要性を共有しました。
■日本国憲法の力を実感する-私たちの生活と小さな幸せを守るツール(記念講演)
記念講演では、室蘭工業大学の清末愛砂教授が、憲法について、だれもが衣食住に困らず、医療や福祉にアクセスでき、尊厳を傷つけられずにくらせる―そうした「小さな幸せ」を守るためのツールとなっていると語りました。

清末教授は、北海道の矢臼別演習場に残る民有地を守る「矢臼別闘争」やパレスチナやアフガニスタンでの支援活動の経験を通じて、衣食住に困らず、それなりに快適に暮らし、日常の中で「幸せだな」と思えるような「小さな幸せ」こそ人々に求められていると感じたといいます。
そうした「小さな幸せ」を実現するためには、自己決定できる「強い個人」だけではなく、「弱い立場」に立たされている人々の尊厳を守る法的保障として憲法とそれに基づく立憲主義の重要性を指摘しました。
改憲問題については、清末教授は、憲法9条には実際に戦争への参加を抑制する規範力があると評価し、他方、「自衛」「自衛権」という言葉自体が、歴史的に戦争や武力行使を正当化するために使われてきたと指摘。そのため、自衛隊や自衛権を憲法に明記することは、単なる現状追認ではなく、憲法が「してはならない」と定めていることに、「してもよい」という規定を追加することになると批判しました。さらに、イスラエルによるパレスチナへの攻撃を踏まえ、「自衛」や「対テロ」という大義名分が、深刻な武力行使や国際法違反を正当化する危険性を強く指摘しました。
清末教授は、戦争を防ぐためには軍事力だけでなく、国際法、外交、交渉、そして人々同士の信頼関係が重要だと述べます。そしてアフガニスタンで活動した中村哲氏やペシャワール会の例を挙げ、現地の人々との信頼関係によって生まれる「民衆による草の根の外交」にも大きな可能性があると語りました。
全体会の最後に、事務局団体である自治労連から福島功中央執行委員長が登壇し、全国からの参加に感謝を述べました。そして地方自治研究全国集会を通じて、高市政権下で進められている「戦争国家づくり」に住民自治と地方自治を対置し、主権者である地域住民と自治体公務公共関係労働者、研究者などが力を合わせてとりくみを進めようと訴えました。
■さまざまな分野のとりくみ・課題を研究者、市民団体と共有し交流(分科会・講座)
自治研全国集会2日目は、JMSアステールプラザを含む3つの会場で15の分科会1講座、広島市内で2つの現地分科会が行われました。自治体や公務公共のさまざま分野について、研究者や住民の方からの報告や問題提起、自治体労働者や労働組合からも現場実態を伝えながら進められました。参加者からは、「助言者から専門性の高い内容をとてもわかりやすくお話しいただき、とても勉強になりました」「現場それぞれの頑張りや思いがリアルに聞けて、本当に素晴らしいと感じました」といった感想が寄せられました。