自治研全国集会とは?~住民全体の奉仕者として、仕事を総点検してみる必要があるのでは?~
自治研全国集会は、戦後の混乱から立ち直りつつある1950年代に地方自治体が財政危機に直面するなかではじまりました。

自治研活動はいつから始まったのでしょうか。いまから70 年ほど前の1950 年代、全国の地方自治体は深刻な財政危機に見舞われました。住民に必要な行政サービスを行うのに、国がまともな財源を保障しなかったのが原因です。各地で自治体職員の解雇、給与の遅配、欠配などの問題が発生し、住民サービスも削られました。
この事態を打開するために、自治体労働者・労働組合と地域住民との「共同」が模索されました。こうした最中の1956 年、長野県で、県職労・県教組・県高教組の共催で開催された「地方自治防衛大会」で、ある県民が次のように発言しました。
「学校の先生が首を切られることは、教育の質の低下を招き、子をもつ親として黙っているわけにはいかない。しかし、お役人は多すぎるから、首を切ってもいいのではないだろうか」。
この発言は、自治体職員には大変なショックでした。「自分たちの仕事が、住民の願いに応えていないのでは?」「住民全体の奉仕者として、仕事を総点検してみる必要があるのでは?」との思いの中、自治体労働組合は、「自治体は住民の要求にどう応えているか」をテーマに、1957 年に山梨県甲府市で「第1回自治研全国集会」を開催しました。その後、1961 年の自治研集会ではスローガンも「地方自治を住民の手に」という実践課題的な内容に発展し、住民とともに自治体の民主化に向けて歩みはじめた全国の経験が報告されるようになっていきます。このスローガンは、「住民こそ地方自治の主人公」であることがうたわれたもので、今日の「自治研全国集会」へ引き継がれています。
自治労連パンフレット「はじめての自治研」(2013年)より
自治研全国集会は、自治体労働組合と市民・住民団体の共同集会へと発展

1989年には労働組合の基本原則(①使用者からの独立、②政党からの独立、③一致する要求に基づく行動の統一)をふまえ、「地域住民の生活と権利をまもる自治体労働者の基本的立場と責務を自覚し、地域住民と団結して、民主的地方自治確立のためにたたかう」(自治労連行動綱領)自治体労働組合の全国組織として自治労連(日本自治体労働組合総連合)が結成されました。
自治労連は、それまでに取り組まれてきた自治研全国集会が積極的に果たしてきた役割を継承し、発展させることを目的に、1990年に「第1回地方自治研究全国集会」を横浜市で開催しました。
1993年の第3回集会からは、自治労連が単独で開催する集会ではなく、全国19の中央団体と自治労連で構成する共同実行委員会(2025年現在は21団体で構成)が主催するようになり、名実ともに「住民が主人公」として開催する共同集会へと発展してきました。1997年には憲法をいかす21世紀の地方自治のあり方を提案した「地方自治憲章案」を発表するなど、地方自治を守り発展させる運動、住民運動、中小業者や農民の運動、地域の労働組合運動、自治体労働組合運動に政策、運動での確信と展望を示す役割を果たしてきました。
2000年代に入ってからは、国の「構造改革」による住民サービスの切り捨て、「三位一体改革」、市町村合併、道州制導入の動きなどを住民の立場から分析・検証し、住民本位の地域、自治体づくりへ展望を開いてきました。2011年に発生した東日本大震災と福島第一原発事故について、被災者の立場から現状と課題をとらえ、住民本位の復旧復興と、原発ゼロ・再生可能エネルギーをいかす地域づくりの政策を提案してきました。また、国の社会保障制度の改悪に対して、「権利としての社会保障」を定めた憲法25条に基づく社会保障のあり方も提起してきました。改憲や立憲主義の破壊の動きに対しては、平和と民主主義を求める運動を地域から結集し、共同を広げる役割を果たしてきました。

憲法と地方自治をいかし、自治体労働者・労働組合と住民をつなぐ自治研全国集会の成功をめざして
2020年の開催を目指していた第15回地方自治研究全国集会in岩手は、コロナ危機によって中止を余儀なくされましたが、2022年には、はじめてのハイブリッド開催で第16回地方自治研究全国集会in東京を成功させることができました。そして、2024年、6年ぶりの完全リアル開催を実現した第17回地方自治研究全国集会in愛知の成功を経て、2026年、第18回自治研究全国集会in広島へとそのバトンをつなぎました。
いま、自民・維新連立政権のもとで、「戦争する国づくり」、改憲の動きが強まっています。軍事費の急増でくらしの予算が圧迫され、基本的人権として住民のいのちとくらしを支える「公共」がいっそう脆弱になっています。道路や上下水道、公園や河川などのインフラの老朽化、自治体情報システム標準化による独自施策の見直し・廃止、財政負担の増大、自治体病院の再編統合・民営化など、住民のいのちとくらしが脅かされています。かつて、国がまともな財源を保障せず、住民サービスが削られた1950年代、自治研活動が始まった当時と重なるような状況が起きています。
憲法と地方自治をまもり、いかし、すべての人の基本的人権、個人の尊厳、平和、民主主義、そして公共が守られる社会をめざすとともに、自治体労働者・労働組合と住民をつなぐ集会として、第18回目を迎える地方自治研究全国集会を、大きく成功させましょう。